人気NO.1を誇るみんなに愛される椅子の秘密
「チャールズ&レイ・イームズ」夫妻デザインの「シェルチェア」に憧れを持っている人はとても多いのではないでしょうか。まさに多くの人から愛されるデザイナーズ家具です。このシンプルな「シェルチェア」になぜそれほどまでに人気が集まるのでしょうか。
「シェルチェア」と言う名前は、「シェル(貝殻)」のような曲面をしているという所から名前が付いたものです。この「シェル(貝殻)」の美しい曲面がなぜ実現できたかと言う所が「チャールズ&レイ・イームズ」の椅子の魅力と言えるのではないでしょうか。シンプルな形ですが、シンプルがゆえにその美しさを創り出すためには様々な工夫がなされています。
シェルチェアの新素材FRP素材との出会い
この「シェルチェア」の魅力は何と言っても輝く滑らかな「シェル(貝殻)」状の椅子の曲面です。それを可能にしたのは当時新素材であった「FRP素材」との出会いにあります。試行錯誤の結果、新素材「FRP(繊維強化プラスチック)」を使用したことによって「イームズ」の「シェルチェア」の形が生まれたものです。座面と背面が一体となった美しい形、一体成型のフォルムを強度を強化した「FRP素材」が実現させてくれています。これがシンプルですが、「シェルチェア」の美しさの秘密であり、人気の秘密です。当時の新素材による滑らかな座面へのデザインへのこだわりが強く感じられるものと言えます。
いろいろなインテリアに合わせやすい「シェルチェア」
そして、いろいろなインテリアに合わせやすいのも「シェルチェア」の大きな魅力です。この「イームズ」のチェアを一つ置きたいという思いは多くの人が持っていますが、それをどんなインテリアに合わせたいと思っているかは人それぞれです。全く自由な発想で楽しませてくれるのが「シェルチェア」と言えます。北欧風の優しい雰囲気の部屋にまた、アメリカンポップな部屋になどいろいろな部屋に雰囲気を作ってくれるのが「シェルチェア」の大きな魅力です。座面の色には多くの種類があり、北欧風の柔らかくてナチュラルな色やアメリカンポップにカラフルなものを選ぶ選択肢があります。
脚一つでも雰囲気が違う「シェルチェア」
例えば脚一つでも雰囲気が異なるのが「シェルチェア」の特徴であり、楽しみ方の1つです。無垢材やスチールかよっても随分印象が異なりますし、ウッドレッグ、エッフェルベース、ロッドベース、スタッキングベース、ロッカーベース、Hベース、キャッツクレードルなど多様なデザインの脚の選択によってそれぞれの雰囲気を楽しむことができます。
また、「サイドシェル」「アームシェル」と2種類の座面を選択することによってもさらに異なった楽しみ方をすることができます。
こうして、「シェルチェア」は同じ種類のシェルチェアを一つだけ置いてもセットで置いても、様々な色をそれぞれ置くことでもまた楽しめる多彩な楽しみ方ができます。リビングでタイニングで、そして書斎で、子ども部屋にとその魅力を味わうには決まりを持たない椅子です。こんな「シェルチェア」を勉強部屋にさりげなく置いたり、書斎に置く事で子ども達のデザイン性を高めたり、大人の想像力を掻き立てたりするようなオシャレな空間を作ることもできます。モダンでシンプル、そして美しいチェアが活躍する場は広いと言えるでしょう。それが多くの人に愛される理由となっているのではないでしょうか。
みんなのチェアを目指した「ミッドセンチュリー」家具としての「イームズ」
また、この「シェルチェア」で有名な「チャールズ&レイ・イームズ」の家具は、「ミッドセンチュリー家具」の代表と言われます。「ミッドセンチュリー」とは1940~1960年代にデザインされたスタイルのことで、まさに20世紀の真ん中頃にデザインされたという意味です。1945年に第二次世界大戦が終わり、落ち着いた頃アメリカで住宅ブームが起こり、「ミッドセンチュリー家具」が人気になりました。アメリカを中心とした「ミッドセンチュリースタイル」が誕生していきました。デザイン性の高い家具でシンプルで合理的、機能的なデザインが求められたというのが「ミッドセンチュリースタイル」です。
「イームズ」の家具はそうした「ミッドセンチュリースタイル」そのものと言えます。曲線や色の美しさも求められ、モダンなデザインが求められた時代です。そして「チャールズ&レイ・イームズ」は、「グッドデザインを安価で誰にでも」や「みんなの椅子」と言ったようなテーマを掲げ、広く多くの人が使える椅子を目指しています。そのためにも「FRP素材」にこだわり、大量生産で素晴らしいデザインの物を届けようと努力を惜しみませんでした。
そして最近ではジェネリック家具、リプロダクト家具でも多くの「シェルチェア」が作られるようになりました。比較的手軽に「シェルチェア」が広く楽しまれるようになってきました。「イームズ」の理想が叶ってきたとも言うべきでしょう。たくさんのジェネリック家具がある中で、素材や座面の傾きなど細かなこだわりをしっかり確認することでいいジェネリック家具を手にしてほしいものです。そうすることで多くの人に「イームズ」の「シェルチェア」の魅力を体感してほしいと思います。
構想16年の椅子は技術に支えられたもの
また、「チャールズ&レイ・イームズ」には構想16年を掛けて製作を行った「イームズラウンジチェア&オットマン」という椅子があります。映画監督でありイームズ夫妻の友人である「ビリー・ワイルダー」に贈られた椅子です。レザーと木の組み合わせによるこのチェアのデザインには驚きを感じます。しっとりとしたレザーの風合いとウッドの豊かな木目の表情が全く異なるものの組み合わせですが、美しいハーモニーとなっているものです。特に驚かされるのは、イタリアの滑らかな本革を包み込むような木の曲面の美しさです。どうやって作ったのだろうかと思わせるような木の曲げ具合と言えるのではないでしょうか。
構想16年を掛けてやっと実現した「イームズラウンジチェア&オットマン」は、まさに3D成型の新技術に支えられて出来上がったものです。自由な形に木を曲げるという3D成型の新しい技術がこのチェアを芸術品にまでしているのではないでしょうか。今見ても決して古びる事のない美しい形で、まさに芸術品と言えるものです。見て鑑賞しているだけでも楽しめます。こんなデザイナーズ家具を購入したならば、リビングの真ん中に置いたりしながらゆったりとした寛ぎの時を過ごしたくなります。そして、人にもきっと自慢したくなるチェアと言えます。
イームズの椅子の魅力とは
「イームズ」のデザインへのこだわり、そしてそれを実現するための様々な努力と工夫が感じられるのが「チャールズ&レイ・イームズ」の椅子の魅力です。こだわりのデザインを再現するために決して手を抜かず、素材や技術を追求し続ける姿勢、それが「シェルチェア」を生み「イームズラウンジチェア&オットマン」などを生んだと言えます。彼のデザインに触れ、実際に座ってみて、座面の曲面や座り心地を体感してほしいと思います。決して諦めずに何度も作られていった結果、進化していった「イームズ」のチェアです。多くの人から愛される椅子となったり、寛ぎの椅子となっているのも頷けるものです。