近代建築の巨匠「ル・コルビジェ」の魅力
近代建築の三大巨匠の一人と言われるのが「ル・コルビジェ」です。彼は歴史に残る様々な建築物を残している20世紀の偉大な建築家です。その近代建築の巨匠が自ら作った建物に置く家具として設計したのが「LCシリーズ」と言われる家具です。近代建築の巨匠とまで呼ばれた「ル・コルビジェ」がデザインした家具でもし寛ぐことができたとしたら、それは最高の贅沢と言えるのではないでしょうか。鉄筋コンクリートを使った装飾のない合理的なモダニズム建築の提唱者と言われた「ル・コルビジェ」です。近代建築の造形に果たした功績が高く評価されている人物です。有名建築物は見る事しかできませんが、彼によって作られた家具を今では比較的安いジェネリック家具で自分の部屋に置くことができます。近代の「レオナルド・ダヴィンチ」とも呼ばれた絵画や彫刻などにも優れた才能を見せた「ル・コルビジェ」。彼のデザインによる家具を置くことで、その造形の素晴らしい世界に触れてみてはいかがでしょうか。
「ル・コルビジェ」にとって「家具」は建築物の1つの設備
モダンな建築物を次々と作り続けた「ル・コルビジェ」にとって「家具」は 自らが設計した「建築物の設備」の1つとして考えられています。家具を建物と同じ概念の元に捉え、建物に備えられるべき設備の1つとしてデザインされています。彼が建物においても新素材を駆使したように家具を製作するにあたってもアルミニウム、スチールパイプなど当時の新素材を使った画期的な家具作りが行われています。20世紀当時の新素材を駆使して作り上げられた、まさに時代の逸品と言えるのが「ル・コルビジェ」の「LCシリーズ」と言った家具です。
彼が目指した”Grand Confort(大いなる快適)”と言う名の「LC2ソファ」
「ル・コルビュジエ」は、建築家ということでやはり建物と家具を一緒に考えることも多かったものと言えるでしょう。「LCシリーズ」には、「LC2 Grand Confort(大いなる快適)」というタイトルが付いています。この「LCシリーズ」のソファは、快適さを究極に追い求めたものと言えるでしょう。イタリア製総本革クッションで、中身には羽毛に近いダクロン綿を使うことで、座った際の弾力性とクッション性に素晴らしいものがあります。また、座面を支えるベルトにも弾力のあるベルトを使用するなどまさに「大いなる快適」を目指したものです。コルビジェの建築は、水平・直角・垂直がデザインのモチーフのモデュロール構成となっていますが、その姿がまさに「LC2ソファ」の姿からもうかがえます。水平・直角・垂直のデザインの構造美が家具にも見られ、洗練された美しさとなっています。
「コルビジェ」のモダンなデザインはマンションにもオフィスにも
20世紀に作られた「ル・コルビジェ」の「LCシリーズ」の家具ですが、21世紀の今でも決して古びることなく、新しい印象的なデザインとして私達の目に映ります。21世紀のモダンなマンションやオフィスにもよく似合うものです。サイドや脚に使われたステンレスの美しさは洗練されていて、どこにも無駄がない美しいデザインです。実際にその人気を計るものとして、現在、「ル・コルビジェ」の家具は日本でも様々なジェネリック家具・リプロダクト家具としても多く販売されています。
ル・コルビジェの機能的な構造美の世界
『世界最高デザインの休憩椅子』~ステンレスと本革によって構築されたデザイン~
「ル・コルビジェ」の家具の魅力はやはりどの家具もその構造的な美しさにあります。建築家としての計算された美とでも言うべきものでしょうか。例えば、彼のデザインした家具の中で一躍有名なのが「LCシリーズ」の中でも人気の高い「シェーズロング」と言えます。この造形には誰もが驚きを感じるのではないでしょうか。「シェーズロング」はステンレスと本革によって作られ、本革に寄り添ったステンレスが実に美しく、そのフォルムも個性的なものです。事務所のメンバーである「ピエール・ジャンヌレ」や「シャルロット・ペリアン」らと作った家具が「LCシリーズ」ですが、その中で『世界最高デザインの休憩椅子』とまで「シェーズロング」を有名にしたことには美しさの3つの理由があります。
<その1の理由>
イタリア製総本革を贅沢に使って、流れるようなデザインのもと本革のしなやかでつややかな美しさが表現されています。
<その2の理由>
ステンレスの輝きを大事に美しいラインを保つために、溶接もない曲線を作り上げています。
<その3の理由>
弧円型の独特なフレームが自由に動くために座った人によって最適な形となり、また裏側で支える細かな3cmの幅のベルトが座った人の体重を分散させるような機能性が考えられています。
おしゃれで洗練された見た目の「シェーズロング」は、機能的にも体重を分散するように、また座った人によって最適な形を保つように設計から計算されているものと言えます。こうした様々な工夫がなされた構造を見ていると、まさに本革とステンレスで作られた「ゆりかご」のようでもあり、『世界最高デザインの休憩椅子』と評価された理由がよくわかるものです。
LCシリーズのガラスのテーブルを支える美
また、「ル・コルビジェ」がデザインした「LC6 ターブチューブダビオン」と言うテーブルは、厚い強化ガラスの天板を飛行機用のパーツが支えています。厚くて美しいガラスの天板を支えるための強靭な素材にこだわって作られたものです。スチール製の楕円断面パイプが使われています。そして、ガラスを浮き上がらせるような全体の構造は、実に美しく個性的です。また、機能性にも優れ、天板のガラスを支えるアームが動くことで高さを変えることができます。このデザインの美しさは上から見たり、横から見たりすることで、その構造をしっかり見届けたくなるテーブルです。
フレームから1本の軸が繋がる20世紀の傑作「スリングチェア」
デザイン性の美しさとともに機能的な美しさを誇るのが「ル・コルビジェ」の家具と言えます。構造美を誇る「ル・コルビジェ」の家具は、機能的にも優れたものです。例えば、20世紀に作られた傑作と呼ばれる「スリングチェア」は、フレームから繋がった1本の軸で支えられていて、背面が固定されていません。そのために座る人によって背面の傾きが変わるような構造になっています。この辺もきちんと計算された、建築の巨匠が作った家具らしい設計です。20世紀に人間工学的なことまで考えて椅子を作っていたことには驚きを感じるものではないでしょうか。この画期的な構造は、今でも新しいデザインとして評価できるものと言えます。また、本革とポニースキンなどデザイン的にも楽しめる「スリングチェア」は様々なインテリアでも活躍してくれそうなチェアです。
機能性とデザインの両立の魅力
1928年に「ル・コルビジェ」がデザインした「スウィベルチェア」も有名です。こちらは座面が回転し、立ったり座ったりが楽にできるチェアです。機能性が存分に考えられた椅子ですが、デザインの美しさへも妥協がないのが「ル・コルビジェ」の特徴です。分厚い座面でクッション性を高めた一方で曲線の美しいフォルムへのこだわりもきちんと考えられています。彼が自分の部屋で昼寝用にと考えたチェアということですが、美しくオシャレな姿は一つ置いておくだけでも印象的にしてくれます。こうして、「ル・コルビジェ」のデザインしたたくさんの家具を見てくると、彼にとって美しい構造を持ったものを作るということは、同時に座った時の心地よさや体重の掛け方や座り方と言った様々な機能性を目指すものです。構造美を誇る「ル・コルビジェ」の家具は、同時に機能性の高い居心地のいい家具であることも約束してくれる確かな家具と言えます。