構想16年の完成形に迫る!
「チャールズ&レイ・イームズ」が構想16年を掛けて作ったラウンジチェアに「イームズラウンジチェア」があります。映画監督でありイームズ夫妻の友人である「ビリー・ワイルダー」に贈るために作られた椅子です。映画監督が座るにふさわしい風格を讃えた美しい優雅なデザインが特徴的な椅子です。
贅沢な造りの椅子だというのは見ただけでよくわかります。レザーと木の組み合わせが全く違う異素材なのに寄り添うような美しいデザインとなっています。
柔らかなラインを描いて縫い合わされたレザー、それを支える木の滑らかで美しい曲線は見るからに芸術的といったものです。
構想16年と言われますが、この構造を作り上げ、滑らかな木のラインを完成させるために試行錯誤したと言ってもいいものでしょう。自由な形に木を曲げるという3D成型の新しい技術によって誕生した傑作「イームズ ラウンジチェア」です。
傑作に値するチェア
こちらの「イームズ ラウンジチェア」に使われているイタリア製の美しい本革は、表面に豊かな凹凸のエンボス加工がされています。そのためにしっとりとしたしなやかな肌触りとなっています。
そして、それを包み込むウッドは、3D成型で作られた艶やかな美しい木目の表情を見せます。見て頂いても触って頂いても感動するような魅力にあふれたチェアです。多くの人に愛されるチェアと言うのが頷けます。
また、3D成型のウッドは、背面から見て頂くとわかりますように、座面、背面、頭部と3つのセクションに分かれています。各セクションに分かれることで、それぞれの箇所で支え、究極の座り心地を追求するように機能的に造られています。
ラウンジチェアとしての理想は究極の寛ぎだと思いますが、「イームズ ラウンジチェア」の座面は約15度傾斜することで、ゆったりとした座り心地を実現しています。
オットマンと組み合わされることが多い「イームズ ラウンジチェア」では、15度ほど後ろに傾き、よりリラックスした姿勢でオットマンに脚を投げ出すことができます。同じシリーズのオットマンと組み合わせることで究極のリラックス感が得られるラウンジチェアです。
この15度の傾きが腰にかかる圧力を分散させてくれます。腰だけでなく、背面にも圧力を分散させてくれます。ウッドの3つに分かれたパーツを見て頂くとわかりますように、それぞれの部分が別々の異なる傾きをしています。
各部分に分かれることで3つのセッションがそれぞれに体をゆったりと支える構造を担います。こんなアイデアが実に機能的で個性的なデザインを作っていると言えます。
3つのセッションがそれぞれの機能を果たす独創的なチェア
背面は、木の滑らかな3D成型が美しい絵となっています。背中、頭をそれぞれの部分で支えている構造の美しさを存分に見て味わうことができます。3つのセッションを繋ぎ合わせている様子もよくわかります。
究極の座り心地がこんな構造によって支えられているというのをぜひ知って頂きたいと思います。こういった所に「イームズ ラウンジチェア」の構想16年と言った努力の結果を感じることができるものです。
こちらは、座面とアーム部分です。座面を支える一番下のウッドもレザーのラインにぴったり寄り沿ってとても美しいものです。それぞれの部分をこうして見ているだけでもデザイナーズチェアとしての圧巻の魅力を感じます。映画監督になった気分で名誉や風格を味合わせてくれるラウンジチェアとも言えるものでしょう。
クッション性に関しても、レザーの座面のクッション性がしっかりとしています。またレザーをぴったりとウッドで覆っているためにクッション性も揺るがないとなっています。
座って頂けるとわかりますが、座面もアームや背中も、そして頭部も体の全てがレザーでしっかりと包まれる設計です。贅沢なクッション性に包まれている気分になることができます。
みんなの椅子「イームズチェア」から一転、究極の贅沢なチェアへ
「イームズ夫妻」と言えば、「イームズチェア」がとても有名なデザイナーです。「イームズチェア」をデザインすることで多くの人が使える「みんなの椅子」にすることを理想に掲げたと言われています。
一転して「イームズ ラウンジチェア」が目指したものは究極の贅沢な座り心地と言ったものでしょう。ラウンジチェアとして贅沢な究極の座り心地を追求したものです。
発売当初、実はこのラウンジチェアを製作するために404ドルもかかったと言われています。それほど贅沢な造り、座り心地を当時「イームズ」は目指していました。
そして、構想16年、接着合板を使うことで3D成型での生産が可能になります。1975年までに累計10万台を出荷するベストセラーになっていきました。それは見た目の特別感、究極の椅子として「イームズ ラウンジチェア」が目指したものが評価された証とも言えるものです。
「イームズ」は、このチェアでラウンジチェアとしての究極の贅沢な寛ぎ感を追究しています。シンプルな造りであるにも関わらず、こんなに贅沢感を味合わせてくれるソファは今でもあまり見られないのではないでしょうか。
椅子を製造するにあたって「製造工程が複雑になれば販売価格が上がる」というのが通常ですが、接着合板と言う素材、そして新しい3D成型と言った技術によってデザインは豪華ですが、できるだけリーズナブルなチェアが目指されています。
最高の材質の組み合わせを大事に
「イームズ」デザインの椅子を考えた場合に、有名な「イームズチェア」も「イームズ ランジチェア」も新しい材質との出会いがデザインに大きな影響を与えています。
逆に言えば、理想のデザインを実現するために新しい材質との組み合わせを模索したと言えます。
「イームズチェア」で言えばFRP(繊維強化プラスチック)素材を使うことで、そして「イームズ ラウンジチェア」で言えば接着合板を使う事で3D成型が可能となり美しい滑らかなラインを描くことができるようになっています。20世紀当時、自由に木を曲げることができるということがなかなか難しい技術であったことは計り知れるものです。
デザインを支える新しい素材、そして熟練されて進化していった技術と言ったものが「イームズ」のチェアの根本を支えていることがわかります。
構想16年の美しさは最大の魅力
こうした様々な試行錯誤によって生まれた「イームズ ラウンジチェア」は究極の座り心地とそして何より美しさを誇ります。見ただけで多くの人が一瞬でそのデザインに魅了されます。
革とウッドの異なる素材が同じ曲線を描きながら寄り添っている姿は、他ではあまり感じることができない独創的な魅力です。新しい素材、技術への挑戦と言ったものがまさに集結したチェアです。
そしてまた「イームズ ラウンジチェア」は、時が経つにつれて魅力を一層増すチェアです。革の経年変化と美しい木目のウッドも時が経つほどにまた味わいが深く出てくるものでしょう。それぞれの素材の美しさ、特徴が時間とともに増幅していきます。
構想16年の椅子は、私達が使うことでさらに時を経て美しさを放っていきます。生涯付き合えるラウンジチェアとして多くの人が部屋に置いているチェアです。
ラウンジの主役として、デザイナーズ家具らしいチェアと言った魅力にあふれています。「イームズ ラウンジチェア」の誕生までの歴史を感じながらぜひラウンジに置いて寛いで頂けたらと思います。