500種類の椅子を作った「ハンス ・ ウェグナー」
デザイナーとしてこれほど多くの椅子を作った人はいないのではないでしょうか。北欧家具の巨匠と呼ばれる「ハンス ・ ウェグナー」は、500種類もの椅子を作ったと言われています。まさに椅子作りにこだわった巨匠ではないでしょうか。17歳の若さで木工マスターとなった「ハンス・ウェグナー」は、生涯を通して多くの椅子を作りました。デザイナーズ家具として評価される「ハンス・ウェグナー」による多くの椅子があります。それらは、ニューヨーク近代美術館を始め様々な場所でコレクションされています。そんな椅子の巨匠とも言うべき「ハンス・ウェグナー」の有名な椅子の数々について知ってみませんか。それらを知ることできっと自分でも手に入れたくなるのではないでしょうか。
「椅子の詩人」と言われる「ハンス・ウェグナー」
「ハンス・ウェグナー」の椅子は多くの賞を受賞しています。「椅子の詩人」とも呼ばれている「ハンス・ウェグナー」です。彼の椅子の魅力はその美しさはもちろんですが、その美しさを支えた木工職人としての確かな技術も評価されるものです。美しいデザインと共にその機能性としての座り心地、居心地の良さを追求したものになっています。数々の名作と呼ばれるチェアを誕生させ、その中には、世界で一番愛された椅子と呼ばれる「Yチェア」の存在もあります。
世界で一番愛された「Yチェア」は有名! ~リスペクト&リデザインした「リボーンチェア」にも注目~
「ハンス・ウェグナー」がデザインした「Yチェア」は、木工職人の彼が椅子の美しさにこだわった椅子と言ってもいいでしょう。北欧の伝統的な職人としての技術へのこだわりがこのチェアを作り上げています。彼のデザインした「Yチェア」は笠木と後面がYの字になり2本のフレームがつながった形状の椅子です。とてもシンプルですがシンプルがゆえに木のなめらかな曲線の美しさが光っているチェアです。シンプルな美しい曲線が多くの人々にこの椅子への愛着を感じさせます。この「Yチェア」のデザインをリスペクトし、ジェネリック家具も多く作られています。「ジェネリック家具」として作られた「リボーンチェア」は、木の美しさへのこだわり、機能性を継承。日本人に合わせて長時間座っても楽なように背もたれを骨太にリデザインするなどの工夫も加えられています。
「リボーンチェア」とは何度も生まれ変わる椅子
「リボーンチェア」の魅力は、その名の通り何度でも生まれ変わる椅子と言った所にあります。ペーパーコードになっている座面は、耐久性があるように一品一品手作業で丁寧に編み込まれたものです。そのペーパーコードが劣化した場合には何度も貼り替えてまた新しく蘇らせることができるようになっています。長く使う事ができ愛着も湧いてくる椅子です。木の美しさと座面のペーパーコードの美しさが特徴的で見事なハーモニーを奏でているのが「リボーンチェア」です。
民芸品を思わせる木の温もりと柔らかさ
「Yチェア」だけでなく、彼が作った椅子には、木の温もりや優しい雰囲気を感じるデザインが多く、まるで民芸品のように眺めていたくなるものです。「ハンス・ウェグナー」は、何より木工職人として木の美しさを知っていますのでそうしたデザインを作ることができたのでしょう。例えば「290イージーチェア」で言えば、無垢材のフレームは実に滑らかで、ずっと座ってアームを触っていたいような美しさです。また実際に座った時の姿勢も美しい椅子と言われています。まさに北欧家具としての美しさを備えた椅子ではないでしょうか。
どこから見ても美しい「シェルチェア」
そして、どこから見ても美しいのが「ハンス・ウェグナー」の椅子の特徴です。例えば「スリーレッグド・シェルチェア」の場合も正面、横、後ろのどこから見ても滑らかな木のラインが人の心を魅了します。3本脚の椅子も珍しく、まさに芸術品と言えるような美しさを感じます。横からも後ろからも独創的な曲線が美しい椅子です。決して、後ろ姿も隙が無い、手を抜くことがないこだわりの美しさではないでしょうか。そして、このデザインは木工職人としての技術がなければ到底作れなかったものと言えます。また、貝殻のような形のデザインは、座った人を包み込むような機能的なデザインとなっています。
「ハンス・ウェグナー」がデザインした椅子にはそうした自然の中の有機物をモデルにしたような椅子を多くみることができます。有機物の美しい曲線を椅子でデザインした物が多く、500種類の椅子を作る中で、様々な椅子の形、座り心地のいいデザインにチャレンジしていった様子がうかがえます。また、人が実際に座った際に美しく、美しい曲線が人を包み込むようなデザインが彼の特徴と言えます。
革のホールド感のある椅子もデザイン
「ハンス・ウェグナー」は美しい木の椅子だけでなく、革でも美しさと機能性を追求した椅子を作っています。「ウィングチェア」や「OX(オックス)チェア」などはまさに革の美しさと革を使ったホールド感あふれるデザインが魅力です。「ウィングチェア」では革で翼をイメージし、座る人の体全体を大きく包み込むようなデザインとなっています。圧倒的な存在感を示しながらスタイリッシュでおしゃれな椅子です。大きな革の座面や背面に対して繊細な脚というのも特徴的なデザインです。
また、革を使って、雄牛の力強いイメージで作られたのが「OX(オックス)チェア」です。雄牛をイメージした大きなヘッドレストが頭や肩をどっしりとホールドしてくれる椅子です。力強いホールド感が頼もしい造りとなっています。革の美しさ、革で作る曲線の美しさを見事に表現している椅子と言えます。そして、実際に座ってみることで寛ぎをより感じることができる椅子です。
素材とデザインへの挑戦の椅子
「ハンス・ウェグナー」がたくさん作った椅子の中で「サークルチェア」はその製作にあたり、技術的に困難を極めた椅子です。なかなか製品に至ることができなかったと言われています。今見ても独創的な曲線のラインに驚かされる椅子です。1980年代に「プライウッド」を作る工法で製品化され、ジェネリック家具では無垢材の木で曲線のフレームを作ることに成功したため手頃な価格が実現しています。見た目の大きさもさることながらふんわりとした座り心地の椅子として小さい子ども達とも一緒にも座れるものです。
北欧家具の巨匠による椅子作りへの挑戦
こうして見てきますと「ハンス・ウェグナー」が作る椅子は、技術を駆使しながら美しさへの様々なこだわりを持って作られていることがわかります。木工職人としての技術を活かした美しい木の椅子やしっかりとしたホールド感のある革の椅子、ふんわりとした座り心地を目指した椅子など、様々な500種類もの椅子が作られています。そして、座り心地や座っても美しい椅子を目指しています。どこから見ても美しいデザインにこだわり、美しい曲線も目指した椅子です。「ハンス・ウェグナー」が椅子作りを通して新しい発想、新しい技術で挑戦をしてきた様子がその多くのデザインに表れています。そんな椅子作りへの姿勢も感じることができる名作と呼ばれる巨匠の椅子に触れて座ってみたくなりませんか。「ジェネリック家具」によって巨匠の椅子にも気軽に触れて座ることができる機会が誕生してきています。