デザイナーズ家具への憧れはありますが、高額なものになってしまうためになかなか購入までは多くの人が至らないのではないでしょうか。しかし、今ではリプロダクト家具などでそれらを手に入れることもできるようになりました。改めて自分の部屋に置く家具としてデザイナーズ家具の魅力について考えてみませんか。
デザイナーズ家具の魅力
「デザイナーズ家具」と呼ばれるものは、主に20世紀に多くの有名なデザイナーによって「20世紀の傑作」と呼ばれるような家具が生まれたことに端を発します。この頃は第二次世界大戦後の産業の発展、機械化や製造技術の進化、新素材の開発などが行われ、時代が大きく動き始めた時期でした。産業化が進み、機械による大量生産も行われる中で、特に椅子のデザインを中心に機能性と芸術性の両方を追求していこうという動きが生まれました。技術の進化や新素材の発展と言う所も大きく、素晴らしい技術があったからこそできた傑作と言われる家具があり、新素材の発展があったからこそ美しいデザインも実現した物が多くあります。そうした洗練された技術や新しい素材を使って様々なアイデア、機能性の工夫がなされたのが「デザイナーズ家具」と呼ばれるものです。
建築や室内装飾との融合するインテリアとしての家具に
「デザイナーズ家具」が生まれる歴史をたどれば、19世紀末に機械生産で品質が悪化したことによって職人技を大事にした「アーツ・アンド・クランツ運動」がイギリスで発祥。同じ頃フランスで「アール・ヌーヴォー運動」が広まりました。こちらでは、非対称の曲線や生物の形態などを元にデザインされるなど機能性より装飾性が重視されるデザインが多く見られました。そして、建物や室内の装飾品として「インテリア」として考えられる椅子などがこの頃から考えられています。椅子などの家具を「インテリア」としておくという事も考えるようになってきた時代です。機能性と装飾性を行ったり来たりするのがこの頃の家具の歴史です。そして、1919年、ドイツにバウハウス派が誕生。
「すべての物はその本質によって決定される。すなわち、実用的な機能を満足し、もちがよく、安価で、しかも美しくなければならない」
という機能性と実用性、デザインの美しさの双方を備えたデザイナーズ家具が誕生するようになったのです。それらは、機能性を追求することで美しいデザインも生まれるという考え方がもとになったものです。
芸術と機能性の両方を追求した椅子の誕生
この時代の「デザイナーズ家具」と呼ばれるもので代表的なものを挙げてみます。
「チャールズ&レイ・イームズ」の「イームズ シェルチェア」と呼ばれる椅子は戦後の1950~1960年代の工業デザインの中の代表格と言われる椅子です。「不朽の名作」と呼ばれ世界中の多くの人によって愛されているのがこの「イームズ シェルチェア」です。また、同じく、世界中で600万以上も愛されているシンプルで美しいチェアが「アルネ・ヤコブセン」のデザインによる「セブンチェア」です。これらのチェアはシンプルであるがゆえに洗練されたデザインと機能性、そしていろいろな家具と合わせることができる楽しさが味わえるものとなっています。また、20世紀を代表する近代建築の三大巨匠の一人「ル・コルビジェ」の「世界最高デザインの休憩椅子」の「LC4シェーズロング」や建築家「ミース・ファン・デル・ローエ」の「最高級の王の椅子」「バルセロナチェア」はゆったりと寛ぐには最高の贅沢を感じさせてくれる椅子です。また一方で、北欧家具の巨匠と呼ばれる「ハンス ・ ウェグナー」は、500種類を超える椅子を作ったと言われています。その中の「ソファGE290」は、「名作中の名作家具」と呼ばれ、天然木が美しく北欧デザインの美しさの象徴とも言えます。
こちらも北欧デザインの巨匠と呼ばれるのがデンマークの建築家、家具デザイナーの「フィン・ユール」です。「No.45 イージーチェア」は「世界で最も美しいアームを持つチェア」としてシンプルですが広く愛されています。
どこにでも置ける機能性やデザイン性の高いテーブルも誕生
「アイリーン・グレイ」は女性建築家として自ら「住宅モデルE.1027」を設計して建てたことで後に注目を浴びます。「住宅E.1027」に置くためにインテリア性を考えて作った家具によって有名になります。その一つであるサイドテーブルの「アジャスタブルテーブル E-1027」は使う人の立場を考えたどこにでも置けるテーブルとして評価されています。ベッドサイドやソファのすぐ横に置くことが出来るようにテーブルの片側の脚をなくすという斬新な発想から誕生したテーブルです。
また誕生から60年経っても古びない斬新なデザインと言われているのが「イサム・ノグチ」がデザインした「ノグチテーブル」です。ガラスと木材で追及された曲線と非対称の美はまさにデザイナーズ家具のテーブルと言える印象的なものです。
実際に機能性を感じてほしいデザイナーズ家具選び
こうして見てくると、椅子もテーブルも美しいデザインと機能性は相反するものでもなく双方をしっかり目指したものが沢山誕生していることがわかります。何となくイメージでデザイナーズ家具はデザイン性が高くおしゃれですが、飾って見ているのが一番などと思ってしまいがちです。そんな時には実際にショールームなどで座ってみるのもいいのではないでしょうか。どの椅子も美しいデザイン性と共に座った時の居心地の良さ、「世界最高デザインの休憩椅子」の「LC4シェーズロング」や「最高級の王の椅子」「バルセロナチェア」などのように究極の座り心地を目指したものがいっぱいです。寛ぎと安らぎをくれる椅子などを探してデザイナーズ家具を探してみるのもいいのではないでしょうか。
また、これらはデザイナーズ家具として他の家具とも相性が良く、部屋のコーディネートをする場合に大いに活躍してくれるものです。インテリア性も高めてくれる家具として選んでみませんか。
部屋でのコーディネート例
デザイナーズ家具での部屋のコーディネート例をご紹介します。これだけ揃えなくても一つでも部屋に置くことで雰囲気を変えてくれる存在感のあるデザイナーズ家具たちです。
「ル・コルビジェ」の「LC2シングルソファ」と「LC2トリプルソファ」をセットで揃え、「ノグチテーブル」とコーディネートすると、新しい時代のデザイン性を感じる雰囲気になります。
「チャールズ&レイ・イームズ」の代表作のモダニズムを感じさせる「イームズ ラウンジチェア」&「オットマン」の組み合わせはリビングで最高の寛ぎの時間が過ごせます。
「ミース・ファン・デル・ローエ」の「バルセロナチェア ダブル」で王様の椅子体験をしながら、「アイリーン・グレイ」の「アジャスタブルテーブル E-1027」でおしゃれな時間も過ごしてみませんか。
「フィン・ユール」の「ペリカンチェア」と「ポエトソファ」では造形の美しさ、柔らかなフォルムを堪能することができます。北欧風のインテリアの部屋にはぴったりです。
「ヤコブセン」の「エッグチェア」は包み込むようなフォルムがホテルのロビーなどで寛いぐ雰囲気を私達に与えてくれます。
「エーロ・サーリネン」のオーガニックチェアと「イサム・ノグチ」の「サイクロンテーブル」によってデザイン性の高いインテリアが楽しめるコーナーが完成します。
「イサム・ノグチ」の「ノグチテーブル」と「ヴィコ・マジストレッティ」の「マラルンガ ダブルワイドソファ」を合わせて優雅なデザインを寛ぎながら楽しんでみるのもいいのではないでしょうか。