その名も「エッグチェア」という名前のチェアです。デンマークの巨匠アルネ・ヤコブセンがデザインした卵に包まれるようなデザインの独創性にあふれたチェアです。大きな背面が印象的で、横から見た丸いラインも特徴的です。体全体を優しく覆って包み込んでくれるようなイメージの椅子です。
このアルネ・ヤコブセンがデザインした「エッグチェア」にはアートとしての魅力も強くあります。「エッグチェア」にあふれた魅力を探っていきたいと思います。
エッグのフォルムが美しく優しい!
卵と言うのは生命を育むものであり、優しく命を包み込んでいるものです。やがて誕生する命をそっと包み込んで抱えているホールド感のあるものです。その特徴を活かし、丸く背面が覆うようなスタイルになっているのが「エッグチェア」のデザインの特徴です。
横から見て頂くとその様子がよくわかって頂けると思います。こんなフォルムのチェアは他にはないものでしょう。
そして、直線がどこにもない曲線だけで作られたデザインが「エッグチェア」です。頭部まで覆うような高い背面、そして覆い包むようなフォルム、このチェアに座るとエッグの中に入ったような、独自の空間を感じます。
アルネ・ヤコブセンはこのチェアを自分がデザインしたSASロイヤルホテルのロビーに置くために設計しました。ホテルという人が行き交う場所の中で、よりリラックスした寛ぎの空間を演出するために作られたものです。ホテルのロビーでゆったりとしてもらえたら、多くの人がいる空間でもっと安らいでもらいたい、自分だけの時間を過ごしてもらえたらと言った一途な思いが込められたものです。
私達が自分の部屋に置いてこの椅子に座ると自分だけの空間を感じることができるように作られています。
アルネ・ヤコブセンはどうしてこのような「エッグチェア」をデザインしたのでしょう。ゆっくりと寛ぐ椅子を考えた場合に、彼にとって卵に包まれているというような感覚が安らぎを感じるものとしてイメージされたのでしょう。
何かに包まれていたいと言った気持ちで作られたものです。これまでの椅子と言った規定概念よりも包みこんでくれるものを作りたいと言ったイメージを膨らませて作られたものが「エッグチェア」ではないでしょうか。
製作に関しての発想もまさにアートを作るような発想ではなかったのでしょうか。包み込むイメージのエッグのアートを作り、そこに脚を付けて椅子が完成したものでしょう。その姿はまさにアートです。
卵を切り取ったような形、そしてファブリックの素材感がより柔らかなイメージで包み込むようなチェアを演出しています。エッグの形をしたアートが飾られているような雰囲気です。置いているだけで独特な世界観を感じさせる、絵になるチェアです。
そして、きっと一つ置いたらまた揃えたくなるような欲求も生まれてくるチェアです。色の異なるカラフルな「エッグチェア」をアートを飾る気分で並べてみてもいいでしょう。
シンプルなエッグを象ったデザインチェアがいくつも並べられる姿は美しくて魅力的です。
素材によって異なる個性的な表情を見せる「エッグチェア」
ファブリック素材のエッグチェアだけでなく、革素材の「エッグチェア」も作られています。同じ「エッグチェア」でも雰囲気を一変させます。
ヌバックという革の表面をバフしてベルベット状に起毛させた革や総本革などがあり、ファブリックとは異なる個性的な表情を見せます。
ヌバック素材の「エッグチェア」はマットな雰囲気を漂わせます。置いたその時から歴史を感じさせるようなチェアです。ヴィンテージ感のあるアンティークなイメージの表情を持っています。素材一つでも大きくイメージを変えるのが「エッグチェア」です。
こちらのヌバック素材は、おしゃれな洗練された部屋に似合います。落ち着いた大人の雰囲気の部屋を演出します。こちらは脚もゴールドにこだわったものです。
総本革のレザーの「エッグチェア」も作られています。重厚な高級感があふれる雰囲気です。エッグデザインの滑らかな曲線のフォルムが本革をより美しくみせてくれます。
総本革の滑らかな感じの贅沢感を感じて頂きたいチェアです。
大きさも存在感がある「エッグチェア」ですので、革の存在感もあります。特に革の背面の大きさには風格を感じます。そして、オットマンと合わせるとよりゴージャスな雰囲気の寛ぎのチェアにもなります。
自分だけの空間を作る「エッグチェア」の理想とは
他のデザイナーズチェアと一緒に並べても「エッグチェア」はその大きさといいホールド感といい、圧倒的な存在感です。高さが1mちょっと、幅や奥行きが約80cmの大きさがあります。「エッグチェア」を置くことでちょっと贅沢な自分だけの空間をつくることができます。
この「エッグチェア」に実際に座った人は、他の煩わしいことなどから解放されるようなイメージを抱くでしょう。チェアでこれほどゆったりとした自分だけの空間を作ってくれ、そして暖かく包み込んでくれるようなイメージのチェアもあまりないのではないでしょうか。
アルネ・ヤコブセンと言えば、600万本も世界で愛された「セブンチェア」が有名ですが、こちらのデザインはとてもシンプルです。人の体に寄り添うことを目的にした座と背の一体成型が美しい椅子となっています。「人に優しいデザイン」を目指したヤコブセンの基本となるデザインの椅子です。
大きさや素材などは大きく異なりますが、人の体に寄り添ったラインの椅子を作ろうとした点で「エッグチェア」と「セブンチェア」は同じものを目指したものと言えるでしょう。ヤコブセンの理想の中には、人の体に寄り添うデザインと言ったものが根底にあると言えるのではないでしょうか。
北欧家具と合わせてほしい「エッグチェア」
また、デンマークに生まれたアルネ・ヤコブセンのデザインした家具は北欧デザインの方向性を指し示したデザインと言われています。北欧デザインが目指す「機能や、合理性を追求しながら、どこかに自然の温もりが感じられる。」と言ったイメージのデザインです。
ファブリックやヌバックや総本革と言った素材で作られた「エッグチェア」のそのどれもがどこか温かみのある「エッグチェア」となっています。自分だけの空間を作り出す「エッグチェア」は同時に私達に優しいやすらぎを与えてくれるものです。
北欧家具らしい柔らかなフォルムと優しい素材感のデザーナーズ家具と言った魅力を持っています。
「エッグソファ」に同じヤコブセンがデザインした「スワンソファ」をセットにしてリビングに置いたりするととても温かみのある優しいイメージのリビングになります。どちらもヤコブセンがデザインしているのでもちろん両者はよく合いますが、「エッグソファ」は他の北欧家具とも相性がいいものです。
柔らかなフォルムが他の北欧家具と合わせても温かみがある部屋を作り上げます。北欧インテリアを目指している方にはおすすめのデザイナーズ家具です。
北欧デザインのボーエ・モーエンセンの「ダブルソファ」やイームズの「オーガニックチェア」などと合わせたりするのもいいでしょう。優しい温かみのある色合いで合わせたりモノクロトーンで合わせたりするといいでしょう。
「エッグチェア」のアートのような世界、そして自分だけの空間作りを色合いも楽しみながらセッティングすることで、アルネ・ヤコブセンの世界を楽しんでみませんか。